「…此処もダメだったな…」
白を基調としたジャケット
そのジャケットからなびくマフラーが印象的な、しかしどこか締まりのない顔の青年が言った
「仕方がなかろう。私が持つ傷を癒せる薬や方法など、存在している方が不思議なのだ」
その青年の隣で、青年より少し年が上であろう女性が言った
その女性の髪は、白に近く、薄い紫色をしていて、それを兎のように二つに結い上げている
「仕方ない訳なんてあるかよ…」
どことなく、寂しそうに、青年が言った
女性は青年を見ることなく、言葉だけを聞いてうつ向いた
「? ラクウェ「アルノー」
「…何だよ、ラクウェル」
呼ぼうとして、女性を覘き込もうとして、逆に呼ばれた
アルノーと呼ばれた青年は、少し目を丸くしてラクウェルと呼んだ女性を見る
ラクウェルは顔を上げて、アルノーと目を合わせる
真正面からのラクウェルの視線に、アルノーは一瞬ときめいて、少し赤くなる
「…私は、おまえがいれば、たとえ、この体が治らずとも幸せだよ」
柔らかく、ラクウェルが笑う
ラクウェルの言葉に、アルノーは面食らってしまった
「…だったら尚更、死なせない」
「期待してるよ」
ラクウェルは笑みを深くした
END