「―…これが最後の願いだ、エターナルソード」
ゆっくりとエターナルソードを頭上へと掲げていく
「大いなる実りを、目覚めさせて!!」
その言葉と同時に、エターナルソードを振り下ろした
「―目覚めろ、大樹カーラーン!!」
そして、大いなる実りがゆっくりと降下していくのを見た
大いなる実りが、ゆっくりと降下してくる
それを待ち、自分が大いなる実りの下に立って、降下してきた大いなる実りを、ゆっくりと手を掲げ受け止めた
瞬間、周りが大いなる実りに包まれ、景色が変わる
大勢の、この大いなる実りに吸い込まれた少女達が、自分の周りにいた
目を閉じて、身を委ねて、彼女達を受け入れていく
目の前に、女性が立った
その女性はゆっくりと自分に近付いて、髪をサラリと撫でる
そしてまた、ゆっくりとした動きで、自分を抱く
自分の中に、大いなる実りに吸い込まれた、少女達の記憶が流れ込んできて、次の瞬間には、自分の姿は変わっていき、自分がしなければならないことが浮かんだ
歩を進めて、芽吹いたばかりの小さな木の前へ
葉をひとつ手に取って、その生命の息吹を感じとり、微笑み、立ち上がって振り向く
彼等が、降りてくるのが見えた
降り立った少年の背にある翼が消え、隣に少女が降り立つ
二人は不思議そうにこちらを見ていた
「―…私はマーテル。そして大いなる実りそのもの。人々の希望が、そしてロイド、あなたの希望が私を蘇らせた」
ザッ、と靴が土を踏み鳴らす音とともに、彼等のほうへと向く
「あなたが、ミトスの姉さん?」
「いえ、ミトスの姉であったマーテルは、私の中の一人にすぎません。私はマナそのものであり、大樹そのもの。大いなる実りに吸い込まれた、たくさんの少女達の象徴。大樹と寄り添うために誕生した、新たな精霊。そして種子は今、私とともに新たな目覚めを迎える」
陽射しが、大地を照らしていく
その光が、大樹の種子を照らした瞬間、種子が脈を打った
そして、いっきに種子の姿が大きな樹の姿へと変わる
「これが、大樹カーラーン…」
「すごい…。とても大きくて、キレイ…」
見上げて、思わず感嘆の声をあげた
枝が分かれ、その間から光が射し込んでいる
その姿は、とても美しく、幻想的だった
「これが大樹の未来の姿。でも今はまだ小さな芽。このままではすぐに枯れてしまうでしょう」
大樹を背に、彼等に言う
「どうしたら、大樹を守れるんだ?」
真剣な眼差しで、彼は問う
彼らしい、なんとも素直な眼差しだ
「この大樹を慈しみ、愛すること。その約束が果たされる限り、私もこの樹を守りましょう」
微笑むと、彼はほっとした様子で
「約束する。もしも樹が枯れそうになっても、必ず俺が…俺達が食い止める!」
拳を握り締め、彼は力強く言い切った
その答えに頷いて、また口を開く
「ではロイド、代表としてあなたにお願いします。契約の証として、この大樹に新たな名前を」
「え…!?」
驚いて、私を見るロイド
「大樹カーラーンは、かつてエルフがこの大地にやってきた時、彼等を守るものとしてここに植えられた樹。新たに蘇ったこの樹は、エルフと、人と、その狭間の者全てを守る存在。だからこそこの樹には、新しい名前が必要です」
大樹を見上げて、ゆっくりとした口調で言う
「ロイド、名前を決めてよ。私達皆の樹に」
コレットが、ロイドの顔を覘き込むような体勢で言う
ロイドは、その言葉を受け止めたようで、ゆっくりとした動作で大樹を見上げた
「…この樹は、世界を繋ぐ楔、なんだよな」
木洩れ陽がキラキラと煌めいて、風が葉を揺らして
その姿は、ロイドの瞳にどう映っているのだろうか
「―…よし、決めた! この樹の名前は…―」
その口からつむがれた名前は、英雄の名前だった
END