体の痛みに顔を歪めた
…死んでしまったのか、と思う
しかし、死んでしまったなら痛みなど感じないはずだ

どうやら、生き長らえたらしい






「…俺は、生きてるのか…?」






ペタペタと自分の体を触ってみる
いゆにはっきりとした意識が、やけに生々しかった

ふと、自分の身に纏っている服を見る
自分が意識を手放す前に着ていた服とは似ても似つかない服だった

「…これ、アッシュの…?」

黒を基調にした赤いボーダーラインの服は、確かに意識を失う前に抱えていたアッシュのもので
どうしてその服を自分が着ているのかは不明だが

「…ここは…?」

気付いてみると、そこは自分が最後に見た、あのエルドラントの傍だった
まだ、しかもなぜ自分がここに居るのか、皆目検討もつかない

「…どれくらい、時間経ったんだろう…?」

崩壊したエルドラントは、少し風化したような感じがする
崩れている壁は苔のようなものまで生えてきていた

「かなり時間経ってそうだな…」

風化が、どのくらいで出てくるのかは知らない
けれど、時間が経っているのは明白だ

「…聞こうにも、人はいないしなぁ…」

聞く、とは言っても仲間くらいしか分からないことではあるのだが
もしかしたら、自分はもう遠い時代の人間になっていたりするかも知れない

「…とりあえず、戻るか」

自分が、いまどうなっているのかはともかく、心配しているだろう仲間のもとへは帰らないと
多分、いや、確実に仲間を待たせているのは変えがたい事実なのだから

「…あいつら、変わってないだろうな…」

現在の仲間の姿を想像して、一人苦笑してみる
いま自分はまだ、帰ってきたのだとは実感出来てはいない
多分、仲間の顔を見て、仲間の言葉を聞いて、やっと実感出来るのではないだろうか

「…約二人、反応が予想できるな」

それはジェイドとアニスだ
感情とは裏腹なことをする二人だけど、多分、嫌味混じりな言葉でもかけてくるだろう











「とりあえず、ただいま、かな」



帰ってきたのだと、そう信じたい






END




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