エルドラントが、ゆっくりと崩壊していく
崩れていく天井、落ちていく壁
その中で俺もローレライ解放の魔法陣とともに降下していく

底へと近付く度に、俺は消えてしまうと思ってしまってしょうがない

正直に言うと、本当は怖いんだ、消えてしまうのが
誰だって消えるのが怖くない人などいないだろう
けど、俺は知ってしまったから、ティアの本音を
だから、余計にその思いが増幅したんだ
もう、どんなに叫んでも届かないけど

「…俺も、好きだよ…ティア…」

小さく、呟いた











ふと、上を見上げた
すると、見覚えのある赤い髪が落ちてきていた
俺がいる魔法陣の上にきて、受け止める
力なく、その体は重かった

「…アッシュ…ごめん、最後にでもナタリアに会わせてやればよかった」

言ってももう遅いけれど、言わずには居られなくて
会わなくていい、と本人は言いそうだけど

「…もう少し、付き合ってくれな」

自分を包む光が強くなった

『―…私の預言が覆されるとは―』

強くなった光の中で、声を聞いた
男とも女ともとれないような優しく、透き通った声だった

「……ユリア…?」

なんとなくそう思って問うてみる
その声の主の顔が少し、歪んだ気がした

気のせいだったかも知れない

けれど、そうとも思えなかった
誰だとか、そんなこと考えるより先に言葉が口をついて出ていたから



「―…ずっと…ここに居たんだな…」



確信めいた自信がそこにはあった
ずっとここに居たんだ、ローレライと世界を見ていたんだ、そう思った

意識が途切れそうになる
けれど、なんとか繋ぎ止めて置きたかった
目を閉じた後、次に目を開くことが出来るのか、確証はない
戻れたとしても、自分のままで居られるのかもわからない

「…ティア…」

一言、そう呟いて意識を手放した










『―…まだ、世界には彼方を必要としている人が居る…その人のためにも、どうか…立ち止まらないで…―』










意識が消える寸前、そんな言葉を聞いた気がした







END




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