自分は、白い白い世界に一人、佇んでいた
なぜ、そんな処に居るのか、皆目見当がつかない

「…ここはどこなのかしら…?」

その白い世界は、進むには少し感覚がフワフワしていて
足を進める度に、フワフワした感覚に酔いそうになる

「…誰もいないの…?」

この場所に、人影は一切見当たらなかった
むしろ、自分しかいないのだ、この場所には
周りにはただただ白い世界のみが広がっている

「…ルーク…?」

ふと、見覚えのあるシルエットが視界に映し出されて、思わず声を発した
誰もいなかったはずのその世界が、色付き始めて
その少年がゆっくりと振り向く

「…ティア」
「…何?」

心なしか、少し沈んでみえるルーク
なぜ、そんな顔をしているのか分からず、ティアは首を傾げる

「…俺…もう、ティアの傍に居れない…」

沈んでみえるルークの口からは、信じられない言葉が発せられて
目を丸くして、立ちすくむ

「…な、何を、言ってるの…?ルーク…」

自分の声が震えているのが手に取るように分かる
信じたくはない、いや、信じられない
ルークが、そんなことを言うとは思えない
だけど、不安は隠せなくて

「…ごめんな、ティア…」

短く、ルークはそう言った
そして、ゆっくりとその姿が薄れていく

「待って! ルーク、ルーク!!!」

手を伸ばして、消えそうなその人を掴もうとする
しかし、時既に遅く、掴むことはできなかった








「…っ!?」

ガバッと、体を起こした
そこには、見覚えのある部屋の景色があって
見回して、先程の見たのは夢だと知った

「…嫌な夢…」

汗が首筋を伝う
夢とは言え、現実味を帯過ぎている

「…有り得ない、わよね…」

その不安を取り払うように、首を横に振った

「…ティア?」

不意に声がして、顔をあげる
少し開いた扉から、ルークがこちらを心配そうに見ていた

「…ルーク…」
「あ、いや…なんか声がしたから、どうかしたのかと思って、さ…」

どことなく戸惑い、と言うか何と言うか、躊躇い気味に言う
控え目に笑う姿に、少し安心感さえ覚えた

「…ティア?」

顔を覗き込むような体勢になって、ティアを見る
耐えきれず、ティアはルークに抱きついて
いきなりのことに、ルークは訳が分からず、目を丸くしている

「…どうしたんだよ、ティア。何かあった―」

しかし、言い終える前に口篭ってしまう
ティアの肩が、小刻みに震えているのが分かったからだ

「…落ち着くまで待つよ、ティア」

ルークが言うと、ティアはゆっくりと呼吸を整え、気持ちを落ち着かせた
そしてそれから、見た夢のことを話し始めて

「…ばかだなぁ」
「んなっ…!? 何よ、ばかって!」

いきなりの言葉に、ティアはまた目を丸くして
そんなことを言われるとは思っていなかったのだから、当然かも知れないが
しかし、ルークは平然としている

「だってさ、」

言葉を区切り、笑顔を作った

「俺がティアを置いて居なくなるわけないだろ」

満面の笑みでルークは言った
ティアはきょとんとして、ルークを見つめて

「それに、二度と消えたりなんかしないって誓うから」

そう言って、固まったままのティアの額にキスを落とした

「…ルーク…」

キスされた額を手で押さえながら、ティアはゆっくりとルークの胸に体を寄せた
確かに、彼の存在を感じとれるように







END


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