「ガイ、居るか?」

扉を叩いて返事を待つ

「…ルークか」

しばらくして、その扉が開くと、ルークより少し背の高い青年が出てきて
淡い色をした短めに切られた髪は変わっていない

「こんな時間に、どうかしたのか?」
「…いや、まだちゃんと話してなかったから…」

言葉に詰まるルークに、ガイは苦笑した
言いたいことくらいは予想がつく
なにせ、約十年、いやいなくなっていた間を除けば七年くらいだか、一緒に過ごしていたのだ

「とりあえず、入ればいい。廊下じゃさむいだろ」

招かれるように中へと入る

「…で、何から話す? いなくなっていた間の話か?」

場を和ませるようにガイは言った
けれど、ルークの表情はあまり変わらず

「…ルーク?」

いっこうに口を開かないルークにガイは首を傾げる

「……ありがとう、ってずっと言わなきゃと思ってたんだ」

しばしの沈黙の後、ルークが口を開いた

「…熱でもあるのか? ルーク」

普段の言動からは聞けない言葉に、ガイは目を丸くして、ルークの額に手をあてる
しかし、当の本人は真面目に言っているのだから、気に入らない

「熱なんかないっての!」

手を払い除けて、ガイを睨んだ

「悪い悪い。珍しく照れてもなくいうものだから」

苦笑し、ガイは払われた手を戻した

「…にしても、急にどうしたんだ?」

驚きを隠せないままで、ガイは尋ねた
ルークにしても、アッシュにしても、お礼などほとんど言わなかったと言うのに

「…急なんかじゃないよ。旅をしてた間からずっと考えてたことだから」

ルークは、ずっと思っていたことを話し始めた

「…俺が、アクゼリュスでしたことに皆が離れてった後、ガイは戻ってきてくれた時も、ガイがシンクに操られた時も」

言う度に、その場面を思い出した
自分がしでかしたことに、嫌気がさして一度は離れていった仲間
それでも、信じて戻ってきてくれたガイ

「他にも、ガイに教えられたことはたくさんあったからさ」

頭を掻きながら、ルークは照れくさそうに言う

「ガイは、俺をずっと助けてくれてたから…本当にありがとう」

最後は、まっすぐ目を見て言った
ガイは、心底嬉しさが込み上げてくる感覚を覚えた

「…いや」

しかし、ガイはその感覚を遮るかのように口を開いた
自分の中に、変えられない思いがあったから









「…助けられたのは俺の方さ」








一瞬、何を言ったのか分からず首を傾げたルーク
その頭を、ガイは少々乱暴なくらいにくしゃりとなぜた



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